第33章 80 inch
「ほら…翔ちゃん、
リオ、行くでしょ?
今もだけどきっと
すごい無理するような気がして…。
このサイズなら…
絶対見逃さないと思ったから…。
このサイズだとね、
クマとか凄くよくわかるんだよ?
ドーラン塗っててもわかるし、
厚化粧もわかる。
僕…ずっと見てるから。
ここで翔ちゃんのこと見てるから…。
そのために買ったんだから…これ」
それって…。
普段見ない人が見ると言ってくれてるだけでも嬉しいのに…。
もうなんにも言葉が浮かばなくて…智くんを抱きしめた。
「俺、頑張るから…。
ちゃんと頑張って、
やっぱり嵐は凄いって
認めてもらえるように頑張るから」
抱きしめた智くんの耳許に囁く。
そんな俺の頬を両手で挟んで正面から智くんが見る。
「翔ちゃん…。
翔ちゃんが頑張ってるの
わかってるから。
だからさ…
休む時にはちゃんと休んで?
飛行機の中でも資料なんて
見なくていいから。
もう全部翔ちゃんの頭の中に
入ってるから。
あとは翔ちゃんらしく
伝えればそれでいいんだよ?
それでね、なかなか味わえない空気を
たくさん味わってきてね?
キラキラした瞳で伝える翔ちゃんを
ここで見てるから…」
あぁ…なんだろうこの感じ。
やられたよ、完全にやられた。
この人はなんだかんだ言ってやっぱりリーダーで頼れる人で…。