第32章 My sweetie
「和?さっきからどうしたの?
…
…もしかして…?」
最後の一言は和には聞こえなかったかもしれない…。
背中に当たっていた体温から離れてゆっくり体の向きを変える。
丸っこい背中を後ろから抱きしめた。
「智?」
「しっ、いいから黙ってて?」
なんとなく…なんとなくね?
つつんであげたい気分になったんだよね…。
いろんなものと戦ってるこの小さな背中を…。
本当なら全部包み込んでやりたいけどそれは無理だから…。
せめて、この背中だけでも守ってやりたくて…。
「さと?どうしたの?」
「ふふふ、なんでもないよ?」
守ってあげたい気持ちと同時に俺自身も…この温もりを欲してたんだと思う。
「嘘つき…何でもなくないだろ?」
和の手が俺の脇腹をくすぐる。
「うわっやめろよ…」
身を捩って抵抗するけどその手は止まらなくて。
「智、ここ弱いもんね?」
そう言いながら俺と向き合う和の目に映るもの…。
あぁ…俺たち…本当に似てるんだと思う。
きっと俺の考えてる事もわかってるね?
俺がわかってるように。
「和はここだろ?」
耳許で囁くと体が跳ねる。
どちらからともなく重なる唇。
好きだよ…。
ずっと一緒にいよう?
今までもそうだったように…これからも…。