第31章 This Night
ドラマが無事にクランクアップし、最後の番宣でバタバタしていた智さんはそれが落ち着いてもまだ、不機嫌そうな顔で取材待ちの合間に映画の脚本を眺めてた。
「まだ、怒ってるの?」
「別にぃ…」
どっかの女優もびっくりの不機嫌さを纏ってる癖に…。
「17日、俺が和と一緒にいるからさ、
あいつのこと、
一人にしないから…。
だから安心して行ってきなよ、
打ち上げ」
「松潤、ニノを独り占めするの?」
「独り占めって…。
まぁ、否定はしないけどね?」
「なんか、めっちゃ悔しい…」
「そう言いなさんな。
ところで決めたの?
景品だのなんだの」
「景品?あぁ、うん。
海外旅行のペアチケットにした」
「太っ腹じゃん?」
「潤くんだってそうなんてしょ?
マネ、言ってたもん」
「まぁねぇ。
あれが一番見映えがよくて
スタッフさん盛り上がるじゃん?
で、プレゼントは?
用意したんだろ?」
「迷ってたら和が
キャンドルとバスソルトにしろって。
女の子はそう言うのが好きだって。
だからお金渡してマネに頼んだ。
ほら、僕、よくわかんないし。
それより和のプレゼント…
どうしようかな…」
もはや、映画の台本なんてそっちのけで考え始めた智さん。
「あれは?
ほら、自分にリボンかけて…」
冗談で言う俺をスゴい目で見る。