第22章 流水の紋様 ~揺蕩う(たゆたう)~
和服姿でふにゃっと笑う智くんと
話しながらふと先ほどの
撮影のことを思い出す。
肌蹴た着物の裾から覗いた白い素肌。
すぐにカットが掛かるのが分かってたから
カメラから隠すように身体を入れながら
最後まで撮りきった。
NGだして、もう一回なんてことになって
あの姿をもう一度スタッフたちに
見せるなんてあり得ない。
反応しそうになる自分自身を
無理矢理押さえつけた自分を
褒めてやりたいよ、ほんと。
なのに…相変わらず自覚がないと言うか。
ため息を飲み込み、
すこしわかってもらわないとと思う。
部屋ですぐにでも押し倒したかったけど、
女将さんが出ていくまで我慢してた。
そう、俺は我慢してたんだ。
智くんと今日の撮影の話をしながら
その時を待つ…。
なんにも考えてない顔で「翔先生」って。
警戒心の欠片もなく
今日の撮影のことをのほほんと話す智くん。
はい、もう、お仕置き決定。
とりあえずは軽いところからね?
時間はたっぷりあるから…
楽しまないと…。
「智…なにを考えている?」
目線に力をこめ、智くんをみる。
なにか言おうとする智くんとの距離を
一気に詰める…。
反射的に身を捩り、後ろへと下がる智くん。
その動きに着物の裾が乱れ、
綺麗な太股と智くんのモノが少し見えた。