第22章 流水の紋様 ~揺蕩う(たゆたう)~
二人っきりになると、
翔くんが部屋に置いてある急須に
お湯を注いでお茶を淹れてくれた。
「翔先生、ありがとうございます」
撮影の設定をそのままに
翔くんにお礼を言う。
翔くんがニヤリと笑った気がしたけど
気にせずに話を続ける。
「それにしてもさ、あれ、
ほんとにオンエアするのかなぁ?」
「どうだろう?お蔵入りな気がするよ?
だって、最後のシーン、
ヤバかったもん。」
「最後のシーン?
たしかにちょっと際どかったよね?」
「際どいなんてもんじゃないじゃん?
自覚ないの?あんなに太股露にして…」
「露にしてって…
翔くんが詰め寄るからじゃん?」
「いいや、智が…悪い…。
不出来な弟子にはたっぷりと
躰に教え込まないと…」
翔くんの目の色が変わった。
スイッチ…入った?
「翔…先生?」
僕の口から零れた一言に
翔くんが満足げに笑う。
「賢い弟子は大好きだよ…。
おいで、智…」
「はい…翔先生…」
間違いない…。
翔くんの誘い…。
わかってて僕はその誘いの手を取る…。
その手が導く場所へ…流される…。