第21章 Judgment
「おっさん、ファンの子、泣いてるよ?
ちゃんと明日、否定しろや」
「うん。
さすがに全部は話せないけど…
ちゃんと言う」
「ねーねー、おーちゃん、
あのパグの絵、モデルがこの子の犬って
出てるよ?
そうなの?」
「え?なに、そんな犬の絵、
グッズにしちゃったの?
それ流石に鬼畜じゃない?」
雅紀と潤に責められる智くん。
「違うよ、違う!
そんなわけないでしょ?
あれは町田の!
町田に連れて来てもらったの、
うちのマンションに。
そんで写真撮ってモデルにしたの。
彼女、パグ飼ってたんだ…」
「んじゃこれは?
【友だちの日】に旅行に行ってたってやつ」
ニノがまたまたネットに出てる
流出記事をみせる。
「ほら、
『さっちゃんが釣ってくれました!』
って」
「なにそれ?」
キョトン顔の智くん。
「あの日はラジオ出て、んで
そのままレコーディングだったじゃん?
ドームの打ち合わせもあったし…」
「じゃ、この写真なによ?」
智くんの後ろ姿の写真を見せる。
「あのね…彼女確かに釣り好きらしくて…。
1回一緒には行ったの。
珍しいじゃん、女の子では。
みんな付き合ってくんないし。」
なぜか拗ね気味に語る智くん。
「でね、その時船長と仲良くなった
みたいでその後勝手に連絡取って、
僕が乗る船に
なぜかいるようになってて…」
「なにそれ、軽くストーカーじゃん。
智くん、ちゃんと船長に言った?」
「うん、追い掛けられて困ってるって
伝えて最近は一緒にならなくなった」
「じゃ、あの写真は?」
「多分その船でバッティングしてた時期に
撮られたやつだと思う…」