第21章 Judgment
「んじゃ焼肉は?」
雅紀がこっちを突っ込む。
「どうしても別れてもらえなくて
困ってる時に事務所から写真とかの件で
事情聞かれて…」
「って…言ったの?
勃つかどうか試すために寝たって」
「言えるわけないじゃん!
だから僕、事情を端折りながら
説明して別れたいって言ったの。
で、彼女と話し合うために
彼女を呼んだんだけど
『送り迎えしないと行かない』って…。
で帰りも先に向こうのマンションに
行く予定だったのにうちの部屋に
忘れ物があるって強引にタクシー降りて、
部屋まで…押し掛けられたの」
「まさかとは思うけど…
情報リークしたの向こう?」
まさかと言いつつ半ば確信を込めて
智くんに聞く。
「うん、そうみたい…」
しょぼーんと顔にかいたまま俯く智くん。
「なにそれ、最低じゃん?」
「とんでもないの、引いちゃったね…」
「ほんと、上島のおっさんも
余計なところに連れてくよなぁ…。
おじさん、それ
西麻布のRって店でしょ?」
ニノの一言に智くんの顔が上がる。
なんで知ってるのって顔に書いてある。
「そこね、ある筋では有名なの。
女優やタレント崩れが山ほどいて、
そこそこ顔の整った単価の安い子を
探すには打ってつけだって。
変にプライド高くて野心的で、
でもノセ易いから使い勝手がいいって」