第21章 Judgment
「えっ?そうなの?」
目をぱちくりさせて呟く智くん。
どこまで鈍感…もとい、
ピュアというか無自覚なんだ?
俺、頭痛くなってきた。
「智くん、自覚なさすぎ。
一応俺たち、今、
うちの事務所の稼ぎ頭よ?
ファンクラブの会員数知ってる?
コンサートの倍率知ってる?
そんなグループのリーダーなんだよ、
あなた。
その彼女の座狙ってる女なんて
ごまんといるんだよ?」
俺の言葉に、雅紀が更に追い討ちをかける。
「おーちゃん、さすがにそれはヤバイよ。
俺だってわかるんだよ?
だから出来るだけ周りに
近づけないようにしてるし、
写真なんてご法度じゃん?
なんで撮らせたの?」
「だって…
僕だってわかんないようにするって
言うし、顔は写ってないし…」
それのなにが悪いのかわからない
と言う顔の智くん。
いやマジで絶望的に無自覚だわ、この人。
ニノが憐れみと怒りと呆れを
混ぜたような声で言う。
「相手の女もどうしようもないけど…
おっさんも相当な馬鹿だな」
「馬鹿馬鹿って、
馬鹿って言う方が馬鹿なんだから。」
あぁ火に油注ぐようなことを…。
「はぁぁ~?何言っちゃってんの?
この人。
馬鹿だから馬鹿って言ってるんです!
大体、あんた、この業界に何年いるの!?」
「うーんと、20年ちょっと?」
「あんた、そのなかで学ばなかったの?
写真はマズイって。
顔じゃなきゃバレないって…
小学生の言い訳?
俺、みんなならパーツでわかるよ?
みんなだってそうでしょ?」
ニノの問いに一斉に頷く俺ら4人。