第18章 上海夜曲 〜ネコとくま〜
「画材、なにを用意する?」
「なにがいいかな?
ペンキとかかな…やっぱり。
出来れば日本製のやつがいいんだけど…
手に入る?」
「ちょっと待ってて」
そう言ってチーフが会場のスタッフと
何かを話す。
「これでどうかな?」
チーフが指差す先にはペンキと
ペンキ用の刷毛。
「すごい?なにこれ?魔法?」
驚く僕にチーフ種明かしをしてくれた。
日本から予め持ってきてたんだって。
壁に描きたくなったら
必要になるかも…って。
壁に書くための用意をする。
白い壁を眺めてたら閃いたんだ。
赤いペンキを刷毛に付け一筆一筆、
想いを込めて書く。
『謝謝!!』
伝わるかな?僕の想い。
なんで赤いペンキにしたのか?
エクスクラメーションマークを
2つ寄り添わせたか…。
完成したところでマスコミ向けの
スチール撮影をした。
撮影しながら床に置いた
ペンキをみて思いつく。
もう少し乾いたら…
続きをやろうって決めた。
会場の一角。
別の壁に上海だけの企画の準備をする。
今回の上海のテーマアイコンの
細密画のタツノオトシゴ。
毎日張り替えるポスターに
小指で一枚一枚、1箇所だけ印をつける。