第18章 上海夜曲 〜ネコとくま〜
会場に入るとすでに
日本から送っていた作品が届いていた。
いくつか手に取る。
懐かしい気持ちになって…
7年前を思い出す。
あの時は会見の時も
隣にいてくれたよな。
うまくしゃべれない僕の代わりに
巧く廻してくれた…。
今回は全部ひとり。
でも…頑張るよ。
この7年が無駄になってないって
伝えたいから。
「大野くん、今日はそんなに時間が
取れないけど、明日は一日中、
ここに居れるから。
今日はざっとみるだけで我慢してね」
「うん、わかってる。
今日、夕食、偉い人と食べるんだよね?」
「ごめんね、嫌いなの知ってるけど…」
「謝んないでよ、チーフ。
これもお仕事だからさ。
あっでもさ、
アルコールは控えたいんだけど…」
「わかった。
そこはなんとかするから安心していいよ」
にっこり笑うチーフにホッとした。
チーフはチーフだけあって
有能な人だから…。
夕食を上海のプロモーターと共にし、
ホテルに戻ったのは11時前。
さすがに疲れた。
明日のためにアラームをセットして…。
ここで翔くんから出発前にもらった
封筒のことを思い出した。