• テキストサイズ

Side by Side  【気象系BL小説】

第18章 上海夜曲 〜ネコとくま〜


「大野くん、お疲れさま。

 機内でゆっくり出来た?」


チーフがにこやかに話しかけてくる。

今回は展示品の配置など準備のための

上海入りなので特に騒ぎになることもなく

チーフと一緒に用意された車に乗り込んだ。


上海の街はなんだか作り物みたいで…。

映画のセットに入ったような気分になる。


「大野くん、どうする?

 ホテルに先に行く?

 それとも会場にする?」


「会場に行ってもいいかな?

 なんかホテルに行っちゃったら

 動けなくなりそうでさ」


「昨日、長丁場だったもんね。

 ごめんね、

 こんなスケジュールになって」

「いや、大丈夫。

 飛行機でも寝てきたし」

言いながら思う。

本当の理由は…絶対に言えない。

車窓を流れる風景を見ながら思う。

翔くん、今頃何してるかな?

明日のニュースの準備かな?

なんか寂しくて思わず唇に指がいく。

あのぽってりとした唇を思い出す…。

そんな僕をチーフが不思議そうな顔でみる。


「大野くん、唇、気になるの?」


「ううん、大丈夫」


「ならいいけど。

 あ、そうだ、こっち空気が悪いから

 これ、つけといた方がいいよ」


そういってマスクを渡された。


「ありがとう」


素直に礼を言ってマスクをつけた。

ちょうどいい、これなら表情も隠れるしね。
/ 422ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp