第17章 Afterward 〜ネコとくま〜
体内時計って確実にあると思った。
あんなに疲れたはずなのに…
いつも起きる9時には1回意識が浮上した。
クリアになる視界に映ったのは部屋の天井。
視線をずらした先にあったカーテンの色で
僕は自分の部屋で寝ていることに気づく。
全ては幻だったのかと思ったけど
躰に残るかすかな痛みが
夢じゃなかったことを教えてくれる。
躰を動かすのが億劫で
そのまま寝そべってる。
飛行機の時間は14時45分。
逆算すればまだ眠れる…。
もう一度瞼を閉じた時にドアの開く音がした。
「智くん…そろそろ起きて」
「んん…しょーくん?もうすこし寝かして」
「お風呂、準備したから…
向こうで、腹、壊したくないでしょ?」
そう言って有無を言わさず僕を抱き上げて…
バスルームに放り込む。
そのまま隅々まで洗われた…。
バスルームを出ると髪の毛を
ドライヤーで乾かしてくれて…。
「翔くん?僕、自分で出来るよ?」
そう言っても手を止めない。
「いいの、俺がやりたいだけだから」
翔くんは一度決めたら
なかなかそれを翻さないから
ここは甘えることにした。
ブランチも翔くんが用意してくれていた。
テレビじゃ「得意料理は麦茶です」
とか言ってる翔くんだけど
僕たちは全員、それなりに料理も出来る。
シェアハウスなんて特殊な状況にいると
みんなそれなりに家事能力が
上がるもんだったりする。