• テキストサイズ

絶対絶望壮年 ーカムクラといっしょー

第2章 監禁最後の日


「(……これは?)」
監禁されていたマンションの外に出てすぐ、モノクマと名乗るクマ型ロボットから身を隠すために静かな廃ビルに入った。
そこの廊下であるモノを見つけて拾う。
黒いファイルだ。
ファイルの表紙には、見覚えのあるロゴがプリントされている。
「未来機関……か」
開いてみると、大方予想していたものとは違う内容がそこにはあった。
「(……希望ヶ峰学園の「生き残り」だと?)」
未来機関の構成員はほぼ希望ヶ峰学園の卒業生だということは知っている。
だが、ここにある「生き残り」とはいったい何なのか。
何枚かページをめくると、いくつもの画像が貼られた項を見つけた。
十数人もの顔写真がページ全体を埋め尽くしている。
その内の7人以外は皆、顔を中心に赤く×印を入れられていた。
なんとなく、見たことのある顔触れだ。
野球選手やアイドル、スイマーや格闘家。
どれもテレビで……いや、もっと近いものだろう。
顔写真を一人ひとり眺めていく。
上から順番に見ていくと、一番最後に……つまり一番下の端に見覚えがあると思った原因があった。
私の娘の写真だ。
そうか、これらは娘とそのクラスメイトの写真なのか。
納得していると、すぐ隣のページの文字が目に入る。

――以下、生き残り7名が未来機関に保護され、そして未来機関に所属した。〈苗木誠・霧切響子・十神百夜・腐川冬子・葉隠泰広・朝比奈葵・希灯誉稀〉――

「生き残り」7名。
×印が付いていない者も7名。
名前も一致する。
ということは、深く考えずともこの×印の意図は掴めるだろう。
つまり、×印を入れられている写真の人物はこのファイルの記述が真実ならば既に死んでいる、ということだ。
……どうやら私の娘は生きているらしい。
ひとまず安堵するが、他の犠牲になった娘の同級生達を思うと複雑な気持ちになった。
取り敢えず、このファイルは取っておこう。
そう考えて胴着の懐に入れたとき、背後から何やら珍妙な音がした。
キュィィィン、という機械的な音だった。
まさかと思い振り返ると、案の定モノクマが此方に向かって走ってきていた。
竹刀袋から竹刀を引き抜き、構えながらにじり歩きで距離を取る。
一体だけだから撃退出来るかもしれない。
モノクマが射程内に入ってきた。
竹刀をモノクマの頭目掛けて振り下ろす。
/ 28ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp