第6章 堕とされた恋心
後ろ手で縛られている縄もあと少しで切り落とせる。
そうなったら此処にいる意味もない
それにしても図体だけデカい馬鹿な男だ。
ろくに身体を調べないとは
目に映るものだけが武器ではない。
刀を奪ったからといって安心するとはな
自分の身を守るための道具など幾つも用意してあるに決まっているであろう
こんな頭の足らない男でも使うしかないとは敵ながら哀れに思えるんだがな
プツンと微かに聞こえる音とともに手首が自由になるのがわかった。
(しかし、拘束を手首だけとは物足りないであろう。
俺だったら全身を縄で縛り付け、天井からぶら下げてやるがな)
「おい、お前」
「なんだっ」
「俺の用事は済んだ__帰らせてもらう」
「んだと?!」
悠然と立ち上がった俺に吃驚したのか、間抜けズラを晒している男の首に手刀を落とす
簡単に男は意識を失い床に倒れた
「手応えのない男だ……」
呆れて見下ろしていると大きな音がして中に飛び込んでくるのは
「?」
あの晩以来だな