第6章 堕とされた恋心
俺の顔を見るなりぽろぽろと涙を零しはじめる。
一体、なにがあったというのだ?
「どうした?」
「どうしたって……光秀が拉致されたって聞いたから」
「拉致?」
「……違うの?」
そうか、俺が城を無断であけていたから拉致されたと思っていたのか
それでこの俺を心配して探しに来たというわけか?
俺の姿を見て安堵して泣くほどに俺を想ってくれているというのか?
自分にとって都合良く解釈をしてしまいたくなるとは、恋心とは厄介なものだ。
それでもそんな自分を悟られたくない俺は、いたっていつものような態度をとってしまう。
「仲良くコイツと話をしていただけだ
おかげで御館様を狙う元凶が分かった」
「わざと捕まったっていう事?」
「そうとも言うな」
口の端を上げて笑ってみせるとは、崩れるように座りこんでしまった。
泣き笑いをしながら「光秀が無事で良かった」と呟くを見ていると胸が切なくなるのは何故だ?
否、俺はわかっている
俺の安否を心配してくれたのが嬉しいんだ。
の心に秀吉が居ても__だ