第5章 あなたに堕ちていく
あれから光秀と2人で安土城に戻ってきたけど、信長様に報告やらで光秀は天守へと行ってしまった。
光秀が私に話があるって言った言葉が気になって仕方がない
何を言うつもりなの?
光秀への愛を自覚した私は光秀に捨てられてしまうのが怖い……
「……入るぞ」
「どうぞ……」
冷静を装って返事をするけど心臓がドキドキとしてくる。
「どうした? ずいぶんと顔が強張っているようだが?」
「光秀……私も話があるの」
光秀に言われる前にきちんと言おう
私の気持ちをちゃんと伝えないと
ここは平和を約束されている場所じゃない。
後悔だけはしたくない
「聞こう……」
改めて話すとなるとなかなか言葉が出てこない
「あれ……?」
左の頬が赤く腫れてる?
さっきまではなかったんだけど
そっと左頬に触れると苦笑いをして
「秀吉に叩かれた」
「秀吉に?」
「ああ……あいつに説教をくらった」
どこか愉しそうに目を細めて笑う光秀は、いつもと雰囲気が違う気がする
「」
「はい」
「俺は嫉妬深い男だ」
「え?」
「俺はのすべてを手にいれたい」
「……それって」
私の都合良く解釈をしても良いのかしら?
初めて見る光秀の熱を帯びた視線に胸が高鳴って、息苦しい
「私のこと……好き?」
「好きではないな……」
あ、泣きそう……
「それ以上だ」
「っ……」
意地悪そうにほほ笑む光秀に私は嬉しくて、抱きついてしまっていた。