第1章 堕ちていく私
「なかなかそそられる顔だな……」
「んふっ……っ……」
満足気に微笑む光秀を見ていると、苦しくて
辛いのにそれが悦びに変わってしまう
もしかしたら私って……
「素質は充分にあるようだな__
実に好ましいぞ」
素質って
まさか……?
「俺好みの女にしてやろう」
光秀好みの……?
「それは困る__そんな顔をしているな」
「っ! けほっ、げほっ」
勢いよく指を抜かれ、唾液が逆流して気管に入ってしまった
うっ……
く、苦しい
しばらく咽せて咳き込んでいた私を黙って見つめていた光秀
その視線が痛い
これ以上、私を見詰めないで
アナタに見詰められたら私には拒否をする事が出来なくなってしまうから
いつもよりも数倍、色香を放つ光秀から逃れる事が出来ない。
光秀は聡いんだから私の心の中には別の人がいるのが、分かっている筈だよね?
私の頬に触れる光秀の手は冷たくて
その冷たさを払拭するかのように私の頬は
熱を帯びてしまう
「光秀はまるで麻薬みたいだね」
「ほう……麻薬とはなかなか面白い」
一度経験してしまったら、また欲しくなってしまう
いくら心では駄目と思っていても
身体は求めてしまうもの
「私は光秀好みの女にはならないよ」
「フッ……そういう女だからこそ
愉しみもあるというものだ」
私の上に跨がる光秀の瞳の奥が
氷のように冷たくて私は、背筋が凍ったような冷たさを感じていた。
いつもと雰囲気が違う
どうして?