第3章 奈落の底に堕ちていく
「仲良くやっているに決まっているだろう。秀吉が心配する事じゃない」
「そうなのか? 最近、の元気がないから心配はしていたんだが」
「毎夜、激しく愛しすぎたか?」
私の肩を抱き寄せ微笑んでくる光秀に私は何も言えなくて、地面を見つめていた。
涙がこぼれそうになるのを必死で堪える。
何故?
どうしてっ?
秀吉の前でそんな事を言うの?
秀吉にだけは知られたくなかった。
例え、秀吉が感ずいていても
言葉で肯定をされたくなかったのに
「あんまり無茶をさせるなよ」
「仕方あるまい……が可愛くてしかたがないのだからな」
光秀の言葉に背筋が凍りついてしまいそうになる。
「は、素晴らしいぞ。まさしく理想とする女だ」
「女には興味がないって言っていたお前がねぇ」
2人にとっては他愛のない会話なのかも知れないけど、私にとっては聞きたくない会話。
耳を塞いで、この場から立ち去りたい
でも、光秀の手が私の身体を掴んで離してくれない。
どうしていいのか、途方にくれていると
「いつまで待たせるつもりなの?」
明るく可愛いらしい声が聞こえて顔を上げてしまった。
「こんばんわ。光秀様、様」
「こんばんわ、姫君」
愛想笑いを浮かべ挨拶をしている光秀を横目で見ながら、私も笑顔を作り挨拶をした。
秀吉の愛する姫君__