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紅眼の戦姫

第1章 第1幕 第3王女ティアナ姫


「えー少し試験に変更があり、ティアナ様直々に皆の相手をする!」

それを聞いて志願者達は一気にざわめく。まあ無理もない、まさか姫が直々に剣を構えて戦うのだから。志願者達は呆然としたまま内容を聞き、いざテストへ。

「ハァアア!」

相手の強い一振りも難なく押しのけ、次々と志願者達をリタイアさせていく。チョロい、チョロい…伊達に騎士達に鍛えられてない。

「姫様ってあんな強いのか?」

「戦にも平気で参加するくらいだからなー」

「こりゃあ側近がついて意味あるのか?」

だんだん人数も減ってきたみたい…。

「…ティアナ様、次で最後です…」

「…ありがとう」

耳打ちでサグエルが教えてくれた。最後の相手は短髪で黒髪の青年だった。三白眼で黄色い瞳の色をしていた。こいつで最後…!

「ススキ・バーティア、20歳、よろしくお願いします」

向かい合って互いに礼をする。そして剣を中段に構え…

「始め!」

サグエルの合図と共に私が一歩前に出て先手を狙う。一発で仕留める…!先手必勝とばかりに中段に構えた剣を少し下に向けてから相手の剣を弾こうとした。…だが

キィイイン

「…!?」

それを逆に止められ、虚を突かれた。相手の剣が向けられる前に適度に間合いを取る。ただの志願者ではないようだ。

「…すぐに終わりそうにないなあ…」

ため息を一つついてから相手を見る。騎士ほどの体格はないが袖から覗く腕は逞しく引き締まっている。目は鋭く私を見据えている。相手が姫であろうと手加減はしないのだろう。

「…面白い…」

剣を中段ではなく上段に構え、相手の出方を伺う。向こうから仕掛けてくる気配がない為、こちらから行く。

「セイッ!」

剣と剣がぶつかる金属音がしばし、鳴り響く。こちらの攻撃を上手く受け流されている。全く持って攻撃が通らない。イライラする…!そのせいなのか焦って攻撃をしてしまった為、隙を作ってしまった。

「しまっ…!」

時既に遅し。剣を弾かれ、相手の剣先が私の喉元に当てられた。完全なる敗北、言い逃れ出来ないほどの圧倒的強さ…。

「俺の勝ちでいいんですよね?」

青年は口角を少し上げて私に問うてきた。

「…完敗よ、貴方が側近でいいわ」

諦めがついた。脱走は勿論止めないがこれからそう簡単に脱走は出来ないだろう。それでも退屈な脱走よりマシだと思えた。
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