第6章 two
榎本さんとガオが出て行くと、部屋の中には微妙な空気が流れた。
「なんだあ…びっくりしたなあ…」
雅紀がソファに深く腰掛けた。
風間がまだ残ってる。
「え?どうしたの風間さん」
「あの…言いにくいんですが…」
「うん?」
「あの方、ゲイなんで。気をつけて下さい」
「あ、へ?」
「では…」
風間は足早に部屋を出て行った。
「智…」
「うん。そうなんだ。径、ゲイなんだよ…」
「あ、そう…いや、俺もでも人のこと言えないし…」
そう言って翔の顔をみたら、翔はにこっと笑いかけて来た。
かわいいじゃねえか…
思わず握ってた手を握り直した。
「だから余計だよ…ゲイだって径が知ったら、和也のこと誘惑するかもしれないし」
「ええ…そんなことないっしょ…だって俺、そんなゲイにモテたことないよ?」
「そりゃ和也がストレートだって皆思ってるからで…翔と付き合ってることがわかったら、それこそ…」
智が口ごもってしまった。
「俺、ゲイじゃねえし…俺が好きなの翔だけだし…」
「ん…でもさ。傍からみたら、それもゲイっていうんじゃないの?」
なんにも言い返せなかった…