第6章 two
「和、どうするの…?」
雅紀が不安そうな顔している。
「いや…どうするって…前にもガオに言ったけど、翔のことがあるから…」
「あのね、そのこと榎本さんに話したらね、翔の面倒もちゃんと見てくれるっていうの」
「そこは責任もってやらせてもらいます」
榎本さんは智からメガネを奪いとって掛けた。
「僕はあなたの才能に惚れています。だから、あなたが僕の店で回してくれるなら、サポートは惜しみませんから」
「榎本さん…」
「径、あんまり無理言っちゃだめだよ」
「智、でもなお給料払うんだから二宮くんは音楽で食って行けるんだぞ?」
「でも…和也には和也の事情があるんだからさ…」
チラっと智は俺の顔をみた。
なんだ?
「ちょっと考えなよ?和也」
「あ、うん…」
「じゃあ名刺渡しとくね」
そう言って榎本さんは俺に名刺を差し出した。
「Club Locked room…って、えっ!?」
俺たちDJの間では、鍵部屋と略されるクラブで、超有名…
「マジかよ…鍵部屋かよ…」
潤と雅紀がごくりと唾を飲み込んだ。
俺はただ翔の手を握りしめて呆然とした。