第6章 two
智がいきなりマイクを引き寄せ叫んだ。
「DJ翔!」
イエーイとフロアから爆笑が起こって、皆が手を振り上げてくれた。
「あ、もう…ばか…」
翔はいきいきと音を弄り始めた。
最初はなんだかガクガクした音だったけど、智がブラック系の音を掛けた瞬間から、変わった。
「え…なんかコイツ凄くね?」
智がびっくりしながら翔を見てる。
雅紀と潤も駆け上がってきた。
「ちょ、誰がやってんの?」
「翔!?」
二人とも、階段で立ったまま翔を見つめてる。
「あー…家の卓で遊んでんだよ。毎日…」
「マジで…」
多分。翔的には太鼓でドンのノリなんだろうけど…
こんなの俺達にはない音楽で、だからこそ新鮮で。
どんどん俺たちは翔の作り出す音にのめり込んでいった。
でも翔に客席の煽りなんてできるはずもなく、そこは俺がやったんだけどね…
だいぶ盛り上がったところで、終わらせた。
智がまた叫んだ。
「人生初めてのDJでした!翔に拍手!」
ワーっと叫ぶ客席からの声を聞いて、翔はきょとんとしていた。
「あの拍手は、翔にしてるんだよ?」
「ぼく?」
「そう、楽しかったよってお礼の拍手だよ?」
「わあ」