第6章 two
PCにUSBを差して、曲を確認する。
潤の言うとおり、使えそうな曲がたんまり入ってる。
これならいけそうだ。
しばらくここの卓には触ってなかったけど、指が覚えてる。
ヘッドホンを当てながら、曲の確認をしていって、頭のなかで組み立てる。
卓の下では常連が今か今かと待っている。
「少し待ってろ!」
そう叫ぶと、ヒェーイという声が聴こえてくる。
「バカ…」
でも俺のこと待っててくれた。
嬉しいね…
大体の組み立てができたところで、メインの音源のスイッチを入れた。
ボツっとアンプから音が出る。
これが合図だ。
「行くぞオメーら!」
マイクで叫んだ瞬間、歓声が上がった。
智が駆け上がってきて、俺の後ろについた。
「なに?サポートしてくれんの?」
「ん。今日は特別だぞ?」
荷物からCDやレコードを出しながら、にんまりと笑った。
卓の音を解放すると、そこからは音の渦。
俺の身体は自然に動いた。
汗が滴り落ちても、気にならない。
ひたすらフロアを眺めながら、音を作り出していった。
キメキメで行ってるのに、時々智がジャズの名曲をぶっこんでる。
「やめろ!てめえ!」
笑いながら叫ぶと、智も笑った。