第6章 two
翔はだまって車窓を眺めているけど、Gravityに着いて、潤や智と会うとちょっと笑顔が出てきた。
「よー!元気だったか?翔」
「相変わらず美人だなお前…」
二人にもみくちゃにされるのも、ちょっとは慣れたようで、笑顔が零れているのを見て安心した。
「和也、回してこいよ」
「え?いいよ。智」
「いいから。久しぶりにさ…」
「だって俺、なんにも用意してきてないもん」
潤がUSBを投げてよこした。
「お前が好きそうなの入ってると思うけど?」
「え?いいのかよ…潤のだろ?」
「いいって。行ってこいよ。ウズウズしてんだろ?どうせ…」
「翔は俺達で見とくから…」
「ホントにいいのかよ…タイムテーブル、智じゃん…」
「いいよ。行ってこいよ」
「ほら…翔にはジュース飲ませておくから」
雅紀と侑李がドリンクを持って、後ろに立ってた。
「行ってきてくださいよ、二宮さん。俺、聴きたいです」
皆に背中を押されて、俺は卓の前に立った。
常連たちが集まってくる。
「よー和ー!今日は回してくれんの?」
「待ってたよー!もう来ないのかと思った」
次々に声を掛けて行ってくれる。
「サンキュ…」
小さく呟いて、卓に上った。