第6章 two
「ごめん…翔…」
「かずくん…」
ぎゅうっと抱きしめていると、だんだん翔の震えが収まってきた。
「ごめんね…翔、愛してるよ…もう大丈夫だからね…ここで一緒に俺と暮らそうね…」
「かずくんといっしょ…」
「そうだよ。一緒に居ようね…ずっと居ようね…」
「うん…かずくんといっしょいる」
翔の身体に付いていたロープの痕は、もう消えた。
だけど肛門の裂傷の痕は、一生消えない。
翔の身体にこんな傷をつけたやつを、俺は絶対に許さない。
なんでこんなことされるのか、翔には理由がわからなかったに違いない。
それがどんな恐怖か…
翔の涙を手の甲で拭ってやると、翔はくたっと俺に身を預けた。
「かずくんとずっといっしょにいる…」
そう言って翔は目を閉じた。
そのまま深い眠りに落ちていくのを、俺は眺めていた。
これほど…
思い出すとこんなに疲れるほど、翔の傷は深いのだ。
タオルを濡らして、翔の身体を拭いて、パジャマを着せた。
俺も身支度すると、電気を消して翔の横に滑りこんだ。
「おやすみ…翔…」
抱きしめると、翔は小さく身じろぎをした。