第6章 two
食べ終わって食器を洗うと、することがなくなる。
いつもは銭湯に行く時間だが、おまわりのことがあるから外に出るのも憚られる。
「翔、音楽聴こうか」
久しぶりに隣の部屋にある卓の音を出してみることにした。
となりの部屋は今、俺のCDとDJ卓が置いてある。
防音の設備なんてないけど、俺達しか住んでないから問題ない。
ボリュームは絞らなきゃいけないな…
本当はヘッドホンでやりたいとこだけど、それじゃ翔の声が聞こえないし。
卓の電源を入れて、ツマミを回す。
色々いじって、調整してから試しに音を出してみた。
いきなり大きな音が出て、翔の身体がビクッと震えた。
苦笑いしながらボリュームを下げて、ある程度まで小さくする。
ガチガチのテクノを流して翔の反応を見たけど、あんまりすきじゃないみたいだった。
「ボーカル入ってるほうがいいかな…」
ブラック系の音楽を流してみたら、翔が反応した。
あ、これ好きみたいだな。
そこに色々と音を重ねてみて、ずっと翔を見てたら、心地よさそうに身体を動かしている。
なんだか嬉しかった。
「翔たのしい?」
「うん!」