第6章 two
「とにかく、施設の回りは俺も気をつけておく。石井先生もなにか思い出したことあったら、知らせて下さい」
「はい…お役に立てなくて…」
「いいえ…どんなことでもいいんです。翔を再びあんな世界に戻したくないんです」
「はい…それは私も同じです」
先生はしっかりと俺と目を合わせてくれた。
一緒に仕事をするようになってから、俺のことをちょっとは信頼してくれるようになったみたいだ。
…ま、それまでがいい加減だったからね…
石井先生に礼を言って、デイルームに戻ると翔はどんぐりと戯れていた。
仕事が終わって、のびのびしてるみたいだった。
「おし、翔。戻るぞ」
パートのおばさんたちに夕飯を貰って、礼を言って部屋に上がる。
部屋に上がると早速飯を食べる。
「かずくん、せんとういきますか?」
「今日はやめとくか…」
「こーひーぎゅうにゅう…」
「作ってやる」
ぱああっと翔の顔が輝いた。
「…ばっか。かわいいだろ…」
「んー?」
「いいからさっさと食え」
「はーい」
もしゃもしゃと食べる翔はとてもかわいくて。
思わず頭を撫でたら、更に可愛く微笑んで俺を見る。
堪らなくなる。
こんなにかわいいのに…
あんなことさせられてたなんて。