第6章 two
先生はすがるような目をした。
「だから、だから翔くん、そんなところに売られたんじゃないかって…私…」
「先生…」
「ごめんなさい…私、自分の保身ばかりで、あそこクビになったら生きていけないって当時は思ってて…」
先生はぐっと唇を噛み締めた。
「翔くんがどうなったか、実はあそこにいる職員みんな、薄々わかっていたんだと思います…」
「カジノの話は俺も聞いた」
「親父…」
「まあ、あくまで俺もな、うわさ話として聞いたんだがな…」
恵和は表向きは福祉法人の団体だが、福祉で金儲けをしてるような連中だったらしい。
「相当汚いこともやってたみたいでな、一部の噂だと利用者の家族から要望があれば…」
親父は首に手を当て、横に引いた。
「やったらしい」
「えっ…」
先生の顔を見ると、真っ青な顔をしている。
「学園では…そのようなことはありませんでした…でも…」
そこで先生は言葉が継げなくなった。
「まあ、いい。カジノの噂もそうだ。利用者から巻き上げた金を、更に増やそうとしてたんだろうな…」
金には害虫が群がる。
その害虫の中に、警察関係者がいたのかもしれない。