第6章 two
二人と別れて、いつものコースを回ってビルに帰る。
一応回りを気をつけて眺めたけど、おまわりは居なかった。
そのままビルに入って、その日の仕事についた。
昼休みに親父と話をした。
「そんなのがうろついてるのか…」
「おん。近所の奥さんたちの話だから間違いないと思う」
「暫く俺んちくるか?」
「え?翔と一緒に?」
「ああ…恵和の話もな…」
そう言って親父は無精髭を撫でた。
「なに?なんかわかったの?」
「まあな…同業に聞いたうわさ話だからな…出処は確かじゃないけどな」
「そっか…ちょっとさ、石井先生と一緒にまた話してくれねえ?」
「ああ、そうだな。翔くんの身の安全が掛かってるからな…ちょっとつきあってもらおうか」
デイサービスが終わる夕方、石井先生にちょっと残ってもらって、また俺達は話しをした。
今度は翔はパートのおばちゃんたちに見てもらった。
「あのね、このビルの周りをうろついてるおまわりがいるんですよ」
石井先生は不思議そうな顔で俺と親父の顔を見た。
「それが、推測なんですが。翔のこと買ったやつじゃないかって…」
「え…」
先生は口に手を当て黙りこんだ。