第6章 two
翌朝、翔のお腹は治っていた。
「良かったな!翔」
「はぁい!」
えさをやってから散歩用のリードを持つと、どんぐりはケージのなかで飛び跳ねた。
「どんぐり、おさんぽいきます!」
ケージを開けてどんぐりを出してやると、翔の足にまとわりついて凄く嬉しそうだ。
首輪にリードをつけて、どんぐりはしゃきっとした顔をした。
なぜか翔もしゃきっとした顔をした。
「ほいじゃ、いくぞー」
「はあい!」
「わん!」
どんぐりは豆柴の血が入ってるんだと思うが、正確にはなに犬かはわからない。
ただちょっと臆病なところがあって、あまり馴染みのない人には懐かない。
子供は別なんだけどね。
翔も、別だったな。
どんぐりの中では、翔も子供として認識されているのだろう。
庇護する対象として。
一旦懐くと、昨日俺にしたみたいな舐めた態度も取るようになる。
いつもの散歩コースを三人であるく。
あ、二人と一匹か。
くんくんしながらも、俺達の歩みを邪魔することなく、どんぐりは歩く。
時に、近所の犬とすれ違う。
犬友じゃないけど、ちょっとだけ立ち話をしてしまう。
これはここに越してきてからだから、ちょっと今、新鮮だなと思ってしまう。