第6章 two
「おまえ…」
つーんとどんぐりはあっちを向いて寝てしまった。
「かずくん…」
翔が小さな声で俺を呼ぶ。
「ん。今行くよ?」
翔の横に滑りこむと、腕枕をして抱きしめる。
「ほら、温かいだろ?」
翔は俺の胸に顔をこすりつけて、弱々しく微笑んだ。
「ん…かずくん…」
「ん?」
「すき…」
「ん。俺も好きだよ…」
なんで。
なんでこんなに愛おしいんだろう。
答えなんてないのかもしれない。
俺たちは男と男で。
子供なんて作ることもできなくて。
しかも翔は知的障害を持ってて、意思の疎通なんて難しくて。
なのにこの胸の奥から湧き上がってくるものはなんなんだろう。
熱くて、熱くて。
涙が出てくる。
「…かずくん?」
「んー?」
「ないてるですか?」
「泣いてないよ?」
翔の髪に顔を埋めていると、時を忘れる。
「翔、もう寝ちゃいな」
「はぁい…」
翔は親指を咥えると、静かに目を閉じた。
額にキスすると、俺もそのまま目を閉じた。
”しょうさん、だいすき…”
”和也…俺もだよ”
”しょうさん、いっしょです”
”ああ…ずっと、一緒だよ…”
”ずっとですよ?”