第6章 two
「いいか、翔。目を閉じるんだ」
「あい」
真剣な顔をして目を閉じる。
俺は後ろの袋からあるものを取り出して、翔の前に置いた。
「開けてイイよ」
ぱっと翔が目を開けると、途端に微笑んだ。
「あいす!」
「ほら、いいよ食べろよ」
翔はなんだか舌が肥えてて、コンビニではいっつもハーゲンダッツのバニラばかり食べたがる。
俺なんかホームランバーでいいのに…
「おいちい…」
ちびちびとスプーンでアイスを掬って食べている様がとってもかわいい。
俺はすぐホームランバーを食べ終わって、ゴミ箱にスティックを投げ捨てた。
「翔、ソレ食べ終わったら銭湯行こうか」
「はぁい」
ワン!とどんぐりが吠える。
今日はどんぐりの世話当番の日。
どんぐりはなんとか翔のアイスを奪おうと隙を伺っているが、翔は必死にちびちび食べているので、食べられてない。
翔のまわりを飛び跳ねている。
「もう…翔!銭湯しまっちまう!」
俺は翔からカップを取り上げ、翔にアイスを食わせた。
「翔、赤ちゃんみたいだね?」
「んー!かずくんのおばか!」
かーわいいんだから…