第6章 two
初めて翔と結ばれた日から、俺達は暇さえあればくっついてた。
職場でもGravityでも俺たちは、ニコイチと呼ばれた。
いつも一緒。ふたりで一緒。
俺は翔が視界に入ってなきゃ不安だったし、翔は俺が居ないと泣いた。
でもお互いに依存してるわけじゃない。
上手く説明できないけど、それが俺達にとっては当たり前のことで。
そうしているのが自然で普通の事だった。
だから依存という言葉は当てはまらなかった。
そのうち、職場の連中も親父も俺たちの関係に気づいたけど、何も言ってこなかった。
それをちょっと俺は不思議に思ったけど、石井先生はこういった。
「あまりにも二宮さんと翔くんが普通だから、あんまり異常なことだって感じないわ…」
ちょっと困ったような顔をしてそう言った。
片方は知的障害者でしかも同性愛。
こんな異常なことねーだろって思うんだけど…
「じゃ、どっちが彼女で彼氏ですかね?」
なんてふざけて聞いてみたら、石井先生は暫く考えて微笑んだ。
「どちらかと言えば、二宮さんが彼女かしら…」
オイ、待てや。
固まっていると、後ろでは翔がどんぐりとおっかけっこをして床でごろごろ転がってる。
「どんぐいー!」
きゃっきゃと笑う翔を眺めて、俺は脱力した。