第5章 birdcage
「はあい…」
よたよた歩く翔の手を引っ張って、なんとか部屋に辿り着いた。
「ほら…風呂入るぞ」
ドアの鍵を締めて、すぐに翔の服を脱がせた。
ユニットバスは、前の部屋の風呂よりも狭いけど、格段に暖かかった。
俺も服を脱いでユニットバスに入った。
お湯を出して、その間に翔に歯磨きをさせた。
お湯がだんだん浴槽に溜まる。
俺も歯磨きをして、にーっと翔に笑いかけた。
翔もにーっと笑った。
口をゆすいで、二人で浴槽に浸かった。
狭いけど、抱き合えば男二人でも入れる大きさだった。
「はあ…いいねえ…」
「いいねえ…」
翔が俺の真似をするから噴き出した。
二人で身体を洗い合って、上がったらバスタオルで身体を拭き合って。
幸せだった。
とても幸せだった。
髪を乾かすと、二人でベッドに飛び込んだ。
シングルベッドは狭かったけど、これも抱き合えば二人で寝るには充分だった。
「翔、おやすみ…」
「おやすみ、かずくん…」
翔は親指を咥えると、目を閉じる。
その寝顔を見ながら、俺も目を閉じた。
眠りに吸い込まれながら、今日雅紀が回してた音楽が頭に流れていた。
いい音出すなあ…アイツ…
そんなことを考えてたら、あっという間に朝になってた。