第5章 birdcage
フロアに降りて行くと、潤と智が翔と喋っている。
ふたりとも一生懸命、翔の面倒を見てくれていた。
「わりいな、待たせた」
「いいって。こいつめちゃくちゃ可愛いな!」
智が蕩けそうな笑顔を見せた。
「ほんと、こいつかわいい!」
潤もニコニコしてる。
こいつらは異様に気があってて、ホモでもないのに、今は同居してる。
お互いに女ができたら、同居を解消する予定だ。
「おめえら…侑李のほうがよっぽど可愛いだろ…」
「いいや…翔もかわいい」
「うん、かわいい…」
「かぁずくーん…」
「翔、こっちおいで?」
翔は俺の背後に慌てて隠れるように回った。
「あんな、お前ら。こいつ、俺の恋人だから」
「へ?」
潤がマヌケな顔をした。
智はにっこり笑った。
「なんかそんな気がしてた」
「ま、まじかよ…智…」
「うん…潤、気付かなかった?」
その時、音楽が途絶えて爆音で雅紀のDJが始まった。
「また後で!」
そう言って潤と智はDJ卓の前に走っていった。
翔は目を白黒させて、キョロキョロしてる。
「まあ、慣れりゃ楽しいぜ?翔」
そう言ったけど、聞こえてないみたいだった。