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Re・Birth【気象系BL小説】

第1章 Re・Birth


「お、タクシー代さんきゅ!」


切ない目を振り切るように、おどけてみせた。


雅紀の思い、わかってるけど…


応えることなんてできない。


「翔、タクシーだよ!すげえな!贅沢だよな!」


翔の手を引きながら、VIPを出た。


そのままクラブの入り口の分厚い扉を開けて外に出た。


内階段を登ると、大通りに出る。


手を上げてタクシーを捕まえると、翔を押し込んで乗り込んだ。


「麻布十番の商店街んとこまで」


行き先を告げると、タクシーは走りだした。


「ん…えっ…」


小さく翔が呟いたから顔をみたら、泣いてた。


「ど、どうしたんだよ!?」


「おじさんのところ、いきますか?」


「いかない!いかないよ?」


翔が俺の手をぎゅっと握った。


「どうしたんだよ…翔…」


「こわい…いきたくない…」


翔が頭を抱えて蹲った。


その手首から、なにか見えた。


そっと手をとって見ると、そこには縛ったような跡…


ロープの跡…?


「おい…マジかよ…」


こいつ、今までどこかで虐待受けてたのか…?


そういえば、身体が細い。


色も真っ白だ。


ぶるぶる震える翔の肩を抱き寄せた。


「大丈夫…怖くなんかない…」


翔は顔を上げて、俺の目を見た。


そのまま、俺の胸に飛び込んできた。
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