第4章 truth
俺と翔は施設のあるビルへ引っ越すことになった。
施設の9階に空き部屋があるのと、このビルのほうがセキュリティーがいいからだ。
またあの警官が来ても、踏み込むことは難しいだろう。
なにより親父がそうしろと、俺達に部屋を整えてくれた。
「ま、住み込みの従業員も欲しかったしな」
そんなこと言ってるけど、翔のことを凄く心配してる。
珍しく他人にご執心の俺のことも、ね。
部屋にはミニキッチンもついてるし、エアコンもついてる。
俺達が暮らしてたボロアパートの百倍くらい温かいし…
それに夜になったら、俺と翔のふたりきりだし。
ご飯はパートのおばちゃんたちが作っていってくれるし。
文句なしだった。
「翔、ここどう?お風呂もついてるよ」
「はあい」
…あんまり翔には関係ないようだった…
「ま、俺と居られれば、どこでもいいんだろ?」
「はあい」
「え…」
言った俺が照れた。
あほか…
荷物を片付けて、なんとか暮らせるようになった。
CDと卓は隣の部屋に置かせてもらうことになったから、部屋は前よりも狭いのに広々してた。
ベッドと、テーブル。
部屋に置いてあるのはそれだけだった。