第23章 特別短編 その掌
今日は、翼のお誕生会だから…皆、お祝いに集まったんだ。
「翼ー、お前いくつになったんだっけ?」
「んと、にじゅうはち」
「おお…もうそんなになるのか…俺も老けるはずだわ」
「相葉さん、それ、おもいっきり俺に失礼ですよ?」
「おお…風間はもともとじじむさいから、今ちょうどいいんじゃない?」
大きなダイニングテーブルに料理を並べながら、大人たちはわいわい喋ってる。
「なー、ねえちゃん」
「なによ…」
響が小さな声で喋りかけてきた。
「にいちゃんにプレゼント用意した?」
「した」
「俺、忘れてたからなんにもないよ…」
「ママに言われてたでしょぉ…もう…どうすんのよ?」
「ええ~…どうしよう…」
お祝いムードだから言い出せなくって、響は泣きそうな顔になってる。
仕方ないから私の部屋に連れて行った。
「翼の絵かいたら?」
「ええー!?絵で許されるのは幼稚園児までだろお!?」
「あんたまだ小3なんだから、ギリギリで許されるわよ…」
「そう?そうなのか…」
画用紙と色鉛筆を用意してやって、私は勉強机に座った。
響はお茶を飲むテーブルで懸命に絵を描き出した。
「ほんと…なんでこんなおまぬけなのよ…」