第23章 特別短編 その掌
翼が早歩きになったから、あっという間にお家に着いた。
マンションの玄関でピンポンを鳴らすと、珍しくママが居た。
いつもこの時間はお仕事で居ないのに。
玄関に入ると、翼はママに飛びついた。
「ママ!きょう、つばさ、たんじょうび!」
「あら、よく思い出したわね。すっかり忘れてたのに…」
ママはふんわりと翼を抱きしめた。
「またひとつ、お兄ちゃんになったわね。翼」
「うん!」
赤ちゃんみたいにママに抱きついて…
なんで…なんで…
「おかえり、和音、響」
「あっ!二宮のおじちゃん!」
「おじちゃんじゃねえだろ!お兄さんだろ!」
二宮のお兄ちゃんの後ろには翔くんが居た。
「おかえりなさいっわおんちゃんっひびきくんっ」
翔くんは私と響をまとめてぎゅっと抱きしめた。
「ただいまー!翔にいちゃん!」
「なんで翔はにいちゃんなのに、俺はおじちゃんなんだよ…響ぃ…」
「だって、二宮のおじちゃんおっさん臭いんだもん!」
「くおらっ!響っ…」
「うわー!怒ったー!」
ばたばたと響はリビングに入っていった。
「おー!響、おかえり~!」
ドアの向こうから相葉のお兄ちゃんの声が聞こえた。
慌ててリビングに入ったら、そこには松本のお兄ちゃんも大野のお兄ちゃんも居た。
「おかえり、和音」
「おお?身長伸びた?和音」