第4章 truth
ドライアイス入りの袋を嬉しそうに何回も見ながら、翔は跳ねるように歩く。
俺の家の近くまで来たら、翔が急に走りだした。
「あっ…オイっ…」
慌てて後を追いかけたら、翔は角を曲がってすぐで立ち止まっていた。
「翔…もう、焦らせるなよ…」
翔は立ち止まったまま、前方を凝視してた。
その先には制服を着たおまわりがいた。
「翔、大丈夫だから…」
そう言って手を取って歩こうとしたけど、翔は動かない。
顔色が真っ青だった。
そのおまわりはこちらを見ると、じっとそのまま視線を動かさない。
「なんだぁ…?」
壮年の警官だった。
そのまま翔を舐め回すように見ると、踵を返して歩いて行った。
「翔…ほら、行ったよ?大丈夫だよ…?」
「う…」
翔は身体を硬直させて、汗までかいていた。
「どうしたんだよ…お前…」
「おじ…さん…」
部屋に入って、なんとか翔をベッドに寝かせた。
アイスは冷凍庫に仕舞って、とりあえず翔を見ていることしかできなかった。
ベッドの中で、翔は涙を流している。
あれが…あの制服の警官が翔の”おじさん”なんだとしたら…
なんのためにここまで来たんだろう。
まさか…翔を連れ戻すため…?