第22章 特別短編 愛してるよっ
その言葉通り…
雅紀は本当にいい医者を見つけてきた。
その先生は北海道に居た。
最初、そこまでの資金がないからと断った。
だけど雅紀は強固に金を出すから行って来いと言ってきかなかった。
いうこと聞かないと、部屋を追い出すぞとまで言われた。
潤の家族にも相談して、とりあえず診察だけでもってことで、俺が付き添って行くことになった。
千歳に近い恵庭という所まで俺たちは行った。
本当に名医と呼ばれる人で、脊椎のことに関してはこの人が第一人者と呼ばれる医者だった。
潤を診て、その医者は手術さえすれは必ず歩けるようになると断言した。
でも手術には巨額の資金が要った。
どうしようもなく、その見積もりをみて俺と潤は暗い気持ちになった。
こんな金、どうやったって準備できるわけがない。
失意のまま東京に帰った俺たちを、雅紀はとても心配した。
金なら気にするなと言ってくれたが…
入院していた時の金も潤には返すことができないくらいだったし、家のことだってあるのに、これ以上雅紀に甘えることはできないって…
潤は頑なになってしまった。
ふさぎ込んだ潤は、リハビリもしなくなって…
俺にも心を開かなくなった。