第22章 特別短編 愛してるよっ
径は俺と雅紀に、酒をサービスしてくれた。
礼を言って適当な席に座ると、客が寄ってくる。
適当に相手しながら、俺たちは暫く酒を飲んだ。
「なに…智、なんか冴えねえじゃん」
「まあな…俺にだって色々あるんだよ」
「潤のことか…?」
「色々だよ」
雅紀には家のことで散々世話になってるし…
これ以上心配は掛けられない。
それに…雅紀はまだ、あの一晩だけの恋人のこと忘れられてないみたいだし…
とてもじゃないけど、潤のこと相談できなかった。
でも俺の周りで相談できるのって…雅紀か径、後は和也か…
「狭っ…」
「は?なんだよ?智」
「い、いやなんでもねえ…」
事がコトだから、相談できる範囲狭いし、身内すぎる…
「…智さあ…」
「ん?」
「潤とうまくやってる?」
「ごふっ…」
思わずむせてしまった。
「なあんだよ…さては潤のことで悩んでんの…?」
「ごふっ…ち、ちが…」
「まーまー…無理すんなよ。何年の付き合いだと思ってんだよ…」
「いや…あの…」
案外、雅紀はしつこくて…
結局俺は、アノ悩みを雅紀にゲロってしまった。
「ふうん…どっちが上か下ねえ…」
「まあ…あんま深刻な悩みじゃないんだけどさ」