第21章 is a rose…
「でも、決まりそうだよ…」
「そう…どんな名前?」
「わおん」
「え?なにそのイオンのカードみたいな…」
「ちげーし。和也のかずに、音楽のおとで和音」
手帳にガオが漢字を書いていくれた。
「へえ…なんでその名前にしようと思ったの?」
「周りの人と、和音を奏でるように協力し合える子になってほしいのと…」
「のと?」
「黄色いバラの名前なの」
「へえ…薔薇の名前…」
「いいでしょ?」
そっとガオは手帳から写真を取り出した。
中心が薄く黄色い。
外に向かって白くなっていく、とても可憐な薔薇だった。
「これが和音って薔薇なんだ」
「とってもかわいいな…」
「うん」
翔をみたら、赤ん坊を見つめながら飽きずに抱っこしてる。
「和音いい名前じゃない」
「そう?」
ガオはもっとやつれてるかと思ったけど、全然そんなこともなくて。
「入院生活は快適なの?」
「え?なんで?」
「だって、全然やつれてない」
「ふ…風間のお陰よ」
そのとき、カーテンが開いた。
「ちーずちゃんっ」
語尾にハートマークがついてそうな声で、風間が入ってきた。
「あっ…」
俺達の姿を見て、風間は真っ赤になった。
…あんな声、出せるんだな…