第20章 特別短編 俺達の道
食べ終わっても翼の元気は戻らなかった。
しゅんとして、ソファで膝を抱えてる。
「翼…おねしょじゃないんだから、別にいいんだよ?」
「ほんと?」
翼はよじよじと俺に登ってきて、抱きついた。
ちょっと、重くなったな…
「にーちゃ、ごめんなさい…ありがとう…」
「お。凄いね…ちゃんとありがとう言えるんだ。翼」
「あい…」
照れたように、翼は顔をあっちに向けてしまった。
「たっきー…」
翼がぽつりと呟いた。
「え…?」
ぎゅううっと翼の腕に力が入って、それきり翼はなにも言わない。
そういえば…抱きついてたな…秀明に…
翼…?
本当は淋しかった…?
「翼…」
「ん…」
「寝よっか」
俺は翼を抱えたまま、ベッドに歩いた。
翼をベッドに下ろすと、天蓋から降りる幕が少し揺れた。
「にーちゃ…」
翼が俺をまっすぐに見上げてくる。
両腕を伸ばすと、俺の首に巻き付いた。
そのまま俺たちは、久しぶりに身体を重ねた。
あの時のような一方的なものじゃなく。
お互いに気持ちよくなれるよう…
優しく身体を重ねることができたんじゃないかな…