第20章 特別短編 俺達の道
「え?だから、え?その…え?」
侑李は帰国早々、混乱している。
「ん…まあ…その、そういうことだ」
「はぁ…雅紀…」
「ん…?」
「ほんと、背負い込むの好きですね…」
一時帰国だから持っている荷物は少なかった。
それを片手に持ってやると、翼が一緒に持ってくれた。
「あ。ありがとうね…えっと…」
「翼」
「翼くん」
「はーい!」
侑李は溜息をつきながらぼそっと呟いた。
「じゃあ…俺なんかいらないじゃない…」
聞こえてないと思ったのか、そのまま歩き出した。
「侑李」
「はい」
「俺、お前のこと待ってるよ?」
「え…?」
「さ、行こう。侑李…」
ゆっくりと歩き出すと、侑李は後ろを着いてきた。
「はい…」
俺は…
なんでだろう。
こういう風にしか、生きられないんだ。
それでもよければ…侑李。
「一緒に…生きていってくれない?」
無意識でつぶやいていた。
「もう…しょうがないなあ…」
また侑李は、ギアに載せた手に手を重ねてくれた。
「あーっ!つばさも!」
翼が強引に後ろから手を重ねた。
「お前、シートベルトどうしたんだよっ!」
「いーやーっ!」
「翼っ!このやろっ!」
「あーもー…」
信号で止まったら、侑李がいきなり俺の顔を持った。
ちゅっとキスすると、翼の顔を見た。
「雅紀は俺のものでもあるからねっ!」
「えっ…」
「つばさもー!」
「やめろっ…首がもげるっ…」
秀明…
助けてっ…
【END】