第20章 特別短編 俺達の道
8部屋ほどしかないからちょうどいいだろう。
「翼とにーちゃはこのお部屋でねんねするからね?」
「はあい」
天蓋付きのベッドを翼は見つめた。
その後、布張りのソファにちんまりと座った。
メイドがテーブルの上に、紅茶を出して部屋を出て行った。
「それ、飲める?」
「うん」
翼が紅茶を飲んでいる間、事務所に連絡して、Gravityの壁画は決定稿で進めるよう指示をだした。
部屋の奥には暖炉があり、今は使っていない。
その横に設えたデスクで、少し仕事をした。
「にーちゃ」
後ろからふんわりと翼が抱きついてきた。
「ん?どうした?紅茶もう飲み終わった?」
「にーちゃ、ねよ?」
「あ…おまえ…」
もしかして、それが目的だったのか…このやろう。
「もう!翼っ!だめだろお!」
「いーやっ…にーちゃっ…ねるっ…」
その日は翼と格闘して、なんとか襲われないよう寝るのに一苦労だった。
「そりゃさ、雅紀。やってやんなよ」
「は、はあ?」
和がこともなげに言う。
「何言ってんだよ和…」
「だってさ…翼の性癖は修正することは難しいと思うよ?それに自分で恋愛することもできねーし、風俗に行って発散することもできねーんだよ?」