第20章 特別短編 俺達の道
「どうする?翼。にーちゃはどっちでもいいよ?」
「うー…」
翼は俺とガオたちの顔を交互に見ている。
「ママ…」
ガオの方に近寄るとお腹に手を載せた。
「どうしたの?翼…」
「ぼく、あかちゃんとくらしてもいいの?」
「翼…」
翼は、翼なりに考えることがあったみたくて。
切ない顔してる…
ばかだなあ…
「あたりまえじゃない。翼はこの子のお兄ちゃんなんだよ?」
ガオが答えると、翼は俺の顔を見た。
「じゃあつばさいく!」
「えっ!?」
安心、したんだろうか。
翼はガオたちが寂しそうな顔してるのに、意気揚々と俺の車に乗り込んできた。
「寂しくなったらいつでも帰ってきてもいいんだからね?」
「はあい!」
「おねしょしないように、ちゃんと気をつけるんだぞ?」
「はあいはあい!!」
翼はだぼだぼな服を好んで着てる。
シャツの裾をまくりあげて、パンツの裾もまくりあげて。
まるで子供みたい。
スニーカーをこつこつと合わせると、ガオたちを見上げた。
「パパママいってきます」
「…いってらっしゃい翼…」
「寂しくなったら必ず電話するんだぞ?」
翼よりもガオと風間のが泣きそうになってる。