第20章 特別短編 俺達の道
ふと翼のことが気になった。
決してあの二人が翼を邪険にするようなことはないだろうけど…
赤ん坊が家にきたら、暫くの間大変だろうな…
それにガオ、高齢出産だし…
いつも働いてる間はヘルパーさんやお手伝いさんに翼の世話をフォローしてもらってるけど、赤ん坊がきたらもっと大変になるだろうし…
なにより翼が寂しがるだろうな…
それから絵の打ち合わせと一緒に、翼のことも話し合っていった。
俺がまだ翼のこと保護してる状態だから、俺がガオ達に翼の世話を委託してる形になってる。
だから俺が決めなきゃいけないことなんだ。
行政の手続きってもんは時間が掛かるんだよな…
よくよく話し合って、暫くの間翼を預かることにした。
でも、それは本人の意思をよく確認してからっていう条件で。
ガオの腹がぽてぽてにふくらんだ頃、俺達はガオのマンションに集まった。
ここで風間とガオと翼は一緒に暮らしている。
「わあ…すげえ…でかくなったなぁ…」
「でしょ…なんかすっごい順調なんだって」
「へえ…良かったね高齢出産なのに」
バコンと図面ケースで後ろ頭を殴られた。
「で、翼はどんなかんじ…?」
痛む頭をさすりながら廊下を歩く。
「全くいつもと変わりないわよ」