第20章 特別短編 俺達の道
「えっ!?まじで!?まじなの!?ガオ妊娠したの!?」
「智津ちゃん!智津ちゃん!」
「だーうっせえな…」
ガオはうるさそうに手を振ると、真っ赤になって俯いた。
「5ヶ月入った…」
「マジか…」
「智津ちゃあん…」
とうとう風間は泣きだした。
「泣くなよ…男だろ…?」
「だってぇ…」
ガオは風間の頭を引き寄せると、ぽんぽんと撫でた。
風間はそれで落ち着いたらしく、立ちあがって涙を拭いた。
「そんな薄着してたらだめだろう…」
そう言ってジャケットをガオに着せた。
「ありがと…」
頬を染めながら、ガオは風間を見上げた。
どこからどう見ても、女に見えた。
「ごめん…雅紀。そういうことだから、これを機会にちょっと店に手を入れたくてね…」
「そっか…建築事務所とか紹介しようか?」
「うん。それもお願いしたい。でも一番のお願いはね…」
ガオはフロアの後ろの壁を指差した。
「あの壁一面に絵をデザインして欲しいんだ」
そういうと、にっこり俺に笑いかけた。
帰りの車で、俺は和也やら智やら潤にSNSでガオのビッグニュースを伝えまくった。
和也や潤からは驚いたという返事がきたけど、智からは気づいてたという返事だった。
あいつ…千里眼かよ…こええよ…