第19章 特別短編 あの日から…
それから、ぽつぽつとお互いのことを話したりしながらお茶を飲んだ。
爽やかな香りと、少し暑くなってきた日差し。
うららかな日和で、とても気持ちが良かった。
「DJのチーム?」
もうひとりのじいさんは、お茶のおかわりをいれてくれながら、驚いた表情をした。
「へえ…そういうの今あるんだ…」
「いや…まあそんなたいしたことしてないんですけどね、何しろ見た目が俺たち凄いから…」
「え?」
「俺、この前まで歩けなくて車いすだったし、一人は足が少し不自由だし、一人は知的障害あるしで…。まともな人間半分しかいないんですよ…」
「へえ…凄いね。知的障害ある子も回せるんだ」
さすが元ミュージシャンだけあって、回すなんてこと言えるんだ。
「そいつ凄いんですよ。凄くセンスあるんです」
俺はこの前ふざけて撮った動画を二人に見せてあげた。
動画は少し暗いところから始まる。
ニコニコしながら見ていた二人は、突然立ちあがった。
「翔っ…」
二人は食い入るようにスマホを見ていた。
「え…?どうしてこいつが翔だって知ってるんですか…?」
「え…この子の名前は翔というのか?」
「ええ…」
「嘘だろ…」